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摂食嚥下障害Q&A監修:浜松市リハビリテーション病院 病院長 藤島一郎

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ケア・対処・訓練法

嚥下障害のある認知症患者さんの対処方法は?Next

認知症の方の摂食嚥下障害は、対処がとても難しいものですが、環境調整によって改善できるものがあります。「摂食開始困難」「摂食中断」「食べ方の乱れ」の3点が認知症患者さんにみられる特徴で、これらについて下記の点に配慮することで、患者さんの摂食力を引き出す環境調整方法が見出しやすくなります。

山田律子. 摂食・嚥下障害をもつ認知症の人に対する看護の実際. 老年精神医学雑誌 2009 ; 12 : 1377-86.

「摂食開始困難」

摂食開始困難とは、失行や失認などの中核症状により主体的に食べ始めることができないことを言います。しかし、食べ物を一口摂取することで食べ物と認識できたり、赤ちゃんせんべいやポッキーなどを前歯で噛むなどの刺激やおにぎりを手に持ったり、茶碗と箸を手に持つことの支援など摂食開始のきっかけをつくることで、その後は持続して摂食できる方も多くみられます。

「摂食中断」

摂食中断とは、摂食動作が止まり自ら摂食を再開できないことを言います。これらは、雑音や動体物など環境内の過剰刺激によって、食事への注意を維持できずに生じます。また食事中の居眠り、誤嚥や疲労、便秘など体内環境の変化によっても、摂食が中断されることもあります。言葉による伝達がむずかしい重度の認知症患者さんでは、細やかな観察によって患者さんご本人が発するサインに気づき、速やかに対処することが求められます。

認知症患者さんにとっての体内外の環境における刺激の質と量を調整し、食事に専心できるように環境を整えることで、摂食中断も改善できることがあります。

「食べ方の乱れ」

食べ方の乱れとは、一口量を適量すくえない、あるいは早食いなど食べ方に支障をきたすなどの状態を言います。事前に適切な一口量をカットして配膳したり、食具(食器やスプーンなど)のサイズの調整をしたりすることで改善できる場合があります。

用語解説「中核症状」とは

中核症状とは、脳の認知機能障害によっておこる記憶障害、失語、失行、失認、実行機能の障害などのことをいいます。これに対し、精神症状、性格変化、幻覚・妄想、夜間せん妄、徘徊など非認知機能障害による症状を周辺症状といいます。

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