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摂食嚥下障害Q&A監修:浜松市リハビリテーション病院 病院長 藤島一郎

基礎知識 摂食嚥下のメカニズム

摂食嚥下のメカニズムNext

食べ物を見てから、咀嚼(そしゃく)して、嚥下する一連の動きを「摂食(せっしょく)」と呼びます。一連の摂食嚥下のメカニズムはとても難しく、大きく5つの時期に分けて考えられています。

摂食
  (1)先行期:飲食物の形や量、質などを認識する
  (2)準備期:口への取り込み
       飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする
  (3)口腔期:飲食物を口腔から咽頭に送り込む
嚥下 (4)咽頭期:飲食物を咽頭から食道に送り込む
(5)食道期:飲食物を食道から胃に送り込む
(1)先行期

【飲食物の認識】
食物を認識する段階です。目で見ることだけでなく、においをかぐ、食器などの音を聞く、手で食物の触覚を感じるなども食物に認知に役立ちます。食欲を感じ、唾液の分泌、消化管の運動などにつながる大切な段階です。

(2)準備期

【咀嚼と食塊形成(食物の塊)】
食べ物を口へ取り込み、その食べ物の状態に応じて噛み砕き、唾液と混合して飲みこみやすい形状(食塊)にします。

〈咀嚼の重要性〉
この時期で最も大切なのは、口の中や舌の感覚と下顎(下あご)と舌の運動です。 舌を適当に変形させて動かし、左右の歯で噛めるよう食物の移動を行い、よく噛むこと(毎秒1~2回で1日に600回以上)です。 噛むことができて初めて唾液と充分混ぜ合わされた食塊(飲み込みやすい食物のかたまり)がつくられるのです。 顎関節の異常、歯の残存数や噛み合わせ、入れ歯の具合が悪くて噛むことを怠ると筋肉や感覚の衰え、だ液の分泌減少が急速に進みます。 特にご高齢の方では、周りの方が注意をして歯科検診と治療をすることが重要となります。

(3)口腔期

【咽頭への送り込み】
形成された食塊が、複雑な舌の運動(上下・前後・左右・回転など)により咽頭へ送られる時期です。

送り込みには舌が口蓋前部にしっかりついて固定されていること(アンカー機能と呼ぶこともあります)が重要となります。

(4)咽頭期

【咽頭通過、食道への送り込み】
咽頭期は嚥下反射そのものであり、食物を咽頭から食道へ送り込む、摂食嚥下のメカニズムの中でも特に重要な過程です。通常、わずか約0.5秒で終わってしまうこの過程が問題なく進むかどうかが、口から食べられるかどうかを判断する重要なポイントとなります。

咽頭蓋が倒れ気管への入口に蓋をして、食塊が気管に入り込む(誤嚥)のを防ぐ・軟口蓋が上がって鼻腔との通路を閉鎖し、鼻腔への逆流を防ぐなど、複雑なメカニズムが働きます。

(5)食道期

【食道通過[食道相]】
食道入口部を通過して食塊が食道へ入ると、蠕動運動がおこり胃へ運ばれます。食道上部には上食道括約筋があり、咽頭への逆流を防ぎ、食道下部には下食道括約筋があり、胃食道逆流を防ぎます。

5つの時期を通して、摂食嚥下のメカニズムを見る
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